安全配慮義務

安全配慮義務とは

企業や医療機関が従業員の安全と健康を守るために負う法的責任のこと。
法的根拠のもと企業(医療機関も)は従業員の安全と健康を守る義務を
負っているということです。

労働契約法第5条の制定により、安全配慮義務は明確な法的義務として
位置付けられました。

対 象

安全配慮義務は雇用するすべての従業員に適用されます。
さまざまな雇用形態の労働者が対象です。

・正社員/契約社員
・パートタイマー/アルバイト
・派遣社員/委託労働者
・外国人労働者/在宅勤務者

災害に対する物的な配慮
・事業所の耐震診断(建築年月/耐震)と必要な補強工事
・オフィス什器や工場設備の転倒、落下防止措置
・従業員のための水、食料、医薬品などの防災備蓄

災害に対する人的な配慮
・災害対策本部の設置・役割分担の明確化(BCPなどにて)
・安否確認システムの導入と運用ルールの策定
・全従業員を対象とした防災教育と定期的な避難訓練を

防災対策を策定し、訓練を通じて全従業員に浸透させましょう。
組織全体の力を高めることができるでしょう。


企業や医療機関は自然災害時でも従業員の生命と身体を守る
法的責任を負います。

災害が不可抗力であっても、事前の危機管理体制や発災時の適切な
避難誘導(帰宅困難者への対応等)を怠れば「安全配慮義務違反」と
して損害賠償責任を問われる可能性があります。

災害時における安全配慮義務の基本法的根拠
労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮を
する義務は、労働契約法第5条に明記されています。


自然災害への対応

地震や津波などの自然災害そのものは不可抗力ですが、事前の予測が
可能である場合や発災後の避難誘導、危険地域への業務命令(外出等)に
おいて企業や医療機関の過失が認められた場合、義務違反に問われます。

企業や医療機関に求められる具体的な対策と責任企業は災害に対し、
以下の項目にわたって予見し回避する措置を講じることが求められます。

【事前の備え】
防災マニュアルの策定 従業員への周知

安否確認システムの導入と定期的な訓練。
避難経路の確保や備蓄品の準備。
災害発生時の対応従業員への迅速な避難誘導や危険を伴う
屋外業務の中止判断。

むやみな帰宅指示による二次被害の防止(帰宅困難者の社内待機など)。
業務上のリスク管理災害の危険性が高い状況下(暴風雨や津波警報発令時など)での不要な外出や、危険な屋外作業を命じないこと。

従業員側の対応との関係
災害時に従業員が会社の指示やマニュアルに従わずに被災した場合でも、
直ちに企業の責任が免除されるわけではありません。
状況に応じて適切な指示を出せていたか、労働者の安全を最優先に
行動したかが問われます。

また企業や医療機関の安全配慮義務は国が定める労災認定の基準とは
異なり、個別の事情に応じて判断されます。

災害時の安全配慮義務違反とは

企業や医療機関が従業員の生命や身体の安全を守るための予防策や
事後対応を怠った場合に生じる法的責任です。

具体的な例として
■津波警報下で従業員を高台へ避難させず命を落とさせたケース
■災害時に危険な帰宅を指示したケースなど

災害時における安全配慮義務違反の具体例災害リスクが予見できる状況で
企業や医療機関が適切な措置をとらなかった場合、違反とみなされる
可能性が高くなります。

津波・洪水時の避難誘導の不手際状況

津波警報や河川の氾濫危険情報が発表されている状況。

違反例
■危険が迫っているにもかかわらず「仕事を終わらせてから」
「商品(店舗)を守ってから」と避難を遅らせたり、適切な避難誘導を
行わなかった結果、従業員が被災・死亡した事例。


危険な帰宅の強制や放置状況

地震等で公共交通機関が麻痺し、道路状況も極めて危険な状態。

違反例

■従業員に無理やり自家用車や徒歩での帰宅を指示し、途中で事故に
巻き込まれたり立ち往生して被害を受けた事例。
■社内での待機場所や物資があるにもかかわらず、安全確認をせずに帰宅させた場合など。

事前の防災教育・体制整備の不足状況: 災害発生時。

違反例
■地震や火災に対する避難訓練を一度も実施しておらず、避難経路や
マニュアルの周知を怠っていたために被害が拡大した事例。

屋外・危険業務における判断ミス状況/台風や豪雨の最中。

違反例
■明らかに危険を伴う屋外作業や不要不急の配達業務を中止せず、
従業員を危険に晒して怪我を負わせた事例。

企業が負うリスクと責任安全配慮義務違反が認定されると、企業は以下のような大きな責任を問われることになります。
損害賠償責任
治療費、休業損害、慰謝料、および死亡時の逸失利益など、数千万円規模の損害賠償を請求される場合があります。
労災認定との関係
労災として認定された場合でも、会社の過失(予見可能性と結果回避義務)が認められれば、別途、民事上の損害賠償請求の対象になります。
さらに詳しい裁判例や法的解釈については、厚生労働省が公開している安全配慮義務に関する裁判例の資料などを参考にすると理解を深められます。

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